DAINASHI YESTERDAY

2016.08.23

シエラレオネで中国人に間違われて罵声を浴びせられた話

20160823

”チンチョー” ”アパトゥ”

シエラレオネの首都フリータウンを歩いていると、こんな言葉を投げかけられる。

アルフレッドに聞くと、「チンチョー」は「中国人」という意味で、「アパトゥ」は「白人」という意味だそうだ。

シエラレオネの人は、アジア人=中国人、人によっては黒人以外は「アパトゥ」という認識だ。

一度シエラレオネ人の友人の車に乗せてもらっていたとき、数人の男に何かしらを叫ばれたと思ったら友人が運転席を飛び出して口論を始めたことがある。

あとから友人に聞いたところでは、「中国人なんか車に乗せやがって!!」というようなことを叫ばれたそうだ。おもしろいことに友人が「彼(僕のこと)は日本人だ」と言い返すと謝られたらしい。

シエラレオネの反中感情は強かった

今はどうか分からないが、僕が滞在した頃のシエラレオネでは中国人の評判はすこぶる悪かった。

いろいろな人に聞いてみると、失業率が90%を超える中、中国系の企業が入ってきてさらに仕事を奪っていくからというのが主な理由のようだ。

他にも自分たちに対して見下した態度をとるとかいろいろ理由は聞かされたけど、それは人それぞれの受け取り方の部分だから何とも言えない。

たしかに、中国人は世界中のどこにでもいる。世界中のどこにでもいるという意味ではユダヤ人も同じだけど、中国人のすごいところはその国や街の文化に溶け込むのではなく、自分たちの文化をそのまま持ってきてしまうところだ。

カナダでもインドネシアでもいろんな街にチャイナタウンはあったし、ベトナムに至っては中国に支配されていた歴史的背景から中華的な文化が色濃く残っているように思う。

他国の文化を受け入れず自分たちの文化をそのまま持ち込んでしまうので、何というか排他的な印象を持つ人もいるのかもしれないが、僕がそれ以上に中国人のたくましさに感心する。

反中感情はどこから来るのか?

シエラレオネでも今住んでいるベトナムでも、反中感情は強い。それは中国人の横柄な態度だったり、歴史的背景から来る部分も当然あるだろうが、それ以上にチャンスに貪欲な中国人に国内のチャンスまで奪われる危機感から来るものもあるのではないかと思う。

中国人は、チャンスと見ればアフリカだろうとどこであろうと即座に動く。アジアに絞ってみると、中国と並んで韓国企業の海外進出も目覚ましいものがある。

実際ベトナムではサムスンなどの韓国系メーカーの製品がそこらじゅうにあるし、韓国のアーティストが若い子に大人気という話もよく聞く。

一方日本はというと、ODAなどベトナムにとっては最大の支援国ではあるものの、なんとなく存在感は薄い。

日本の製品は価格が高すぎて多くのベトナム人は手が出せないし、日本のアーティストをテレビで見かけることはほぼない。タンバリン芸人のゴンゾーさんくらいだ。

そういう面では、今の日本の消極的な雰囲気はいささか寂しいように思う。

無害な日本と親日感情

その反面、シエラレオネでもベトナムでも日本人に対するイメージは概ね良好だ。日本がどこにあるのかは知らなくても「ソニー」「ホンダ」は知っている。

そしてその性能のよさから、日本に対してある種の憧れのような感情を持ってくれている人までいる。正直、日本人というだけでやさしくされたことも一度や二度ではない。

でもこれは昔の日本人が頑張ってくれたおかげであって、現在のアジアへの貢献度で言えば、中国や韓国に完全に遅れを取っているように思う。

日本人とか中国人とか韓国人とか、大きなカテゴリーで括って好きとか嫌いとか言う方が簡単だ。大きなカテゴリーで括るということは、細かい情報を無視するということなので、それだけ判断基準は少なくて済むからだ。

でも僕がカナダで知り合った韓国人や中国人の友人たちはとてもよくしてくれたし、反対に殴りたいくらい嫌いな日本人もいた。そういったパーソナルなレベルで人との関係を考えると、中国人とか日本人とか関係なく、いい人はいい人で、嫌な人は嫌な人なのだ。

テレビや新聞の報道を真に受けて、中国や韓国をただの敵とみなすなら、日本人はどんどん内へ籠ってしまうのではないだろうか。なぜなら、内需だけでなんとなくやっていけるから。でもそれが続けば、確実に国際社会から取り残されてしまう。

そうではなく、中国や韓国をライバルと捉え、切磋琢磨していくことでよりチャンスは広がるのではないだろうか。もちろんそうなれば、ベトナムにとって日本は、これまでのようにただの無害な国ではなくなる。

日本人とベトナム人が利益を奪い合うようなことも起きるかもしれない。対日感情が悪くなるのかもしれない。でもそれが、本当に意味での貢献ではないかと思う。

遠くに立ってニコニコ笑っているのは簡単だ。近くに寄らなければ、短所も目に入らないのだから。でもそれをやっているうちは、本当の信頼は得られないと思う。

日本人は「気遣い」とか「察する」ということがとても上手だ。僕はこれを誇っていい日本の文化だと思う。これがある限り、日本が国外で利益を追おうとも相手の尊厳をひどく傷つけることはないんじゃないかと思う。

もっとチャンスをつかみに行くべきだ。日本人の価値を、日本人だけで消費するなんてもったいない。

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