【規模の経済】中小企業が効果的にコストダウンする3つの方法【経験曲線効果・範囲の経済】

2019.11.27 2019.11.30中小企業の経営戦略
【規模の経済】中小企業が効果的にコストダウンする3つの方法【経験曲線効果・範囲の経済】

中小企業でも個人事業主でも、できるだけコストを抑えようと考えるのは当然のことです。

でも闇雲にコストカットを図っても、必要なコストまで切り詰めてしまって商品やサービスの質に影響が出てしまったりと、思うような成果につながらなかったりします。

今回は、中小企業や個人事業主が効果的にコストダウンするための3つの方法をご紹介します。

中小企業が効果的にコストダウンする3つの方法

中小企業や個人事業主がコストダウンを考える際には、

  • まとめて作る・買う
  • 経験を積んでうまくなる
  • 同じ設備を複数の事業に利用する

という3つを基本に考えるのが大切です。

規模の経済

スーパーなんかでも、同じ商品で3個パックと10個パックのものがあった場合、1個当たりの価格が10個パックの方が安くなっていたりします。

こんな感じで「まとめ買いすると安くなる」というのは、生活の中で自然と身についている思考だと思います。

では、なぜまとめ買いで安くなるのでしょうか?

ここをしっかり整理していくと、自分のビジネスにも応用できるようになります。

まとめ買いで安くなる理由、それは固定費にあります。

どんな製品でも、生産する際には変動費と固定費というコストが掛かります。

変動費とは文字通り、生産量が増えるに従って増えていくコストです。

材料費や消耗品費などがそうですね。

対して固定費とは、家賃や人件費などの生産量に関係なく発生するコストのことです。

たとえば、1日に100,000円の人件費が掛かる工場があるとします。

その工場で1日に100個の製品を作った場合、1個当たりの人件費は1,000円になります。

では、1日に1,000個作った場合はどうなるでしょうか?

1個当たりの人件費は、100円になりますよね。

こんな感じで、同じ設備なら、できるだけたくさん生産した方が1個当たりの固定費は小さくなります。

これを「規模の経済」と言ったりします。

生産するときだけでなく、材料や消耗品を購入するときにも、この考え方は効果的です。

小ロットで発注するとどうしても1個当たりの価格が高くなってしまいますが、ある程度まとめて購入することでコストダウンを図ることができます。

経験曲線効果

「経験曲線効果」という言葉があります。

これは累積生産量(経験量)が2倍になると生産コストが20~30%減少することを言います。

誰しも経験があることだと思いますが、何度も繰り返して同じことをやっていれば、自然とうまくなります。

僕は以前、オムライスを作ることにハマっていて毎日作っていたのですが、その時期は日に日にオムレツの形がキレイになり、作るのにかかる時間も短くなっていきました。

言ってみれば当たり前のことなのですが、経験を積むことで技術が付きますし、「次はコレをして、その次はアレをして……」といちいち考えなくても自然と身体が動くようになります。

そんな感じで、経験値によって1個当たりの生産に掛かるコストが小さくなるのは、「経験曲線効果」によるものです。

ただこれについては、特に個人事業主やフリーランスで働く人の場合には、単価の設定に注意する必要があります。

というのも、経験を積むほど作業に掛かる時間が短くなるため、同じ時間内でよりたくさん生産でき、不良品を出す確率も小さくなるからです。

そのため時間を基準として単価が決められている場合には、素人に毛の生えた程度の人の方が熟練者よりも報酬が高くなるという逆転現象が起きてしまいます。

それを避けるためには、発注者とスキルに応じて単価を上げてもらえるよう交渉したり、定期的に自分の単価を見直すなどの対応が必要になってきます。

範囲の経済

乳業最大手である株式会社明治は、乳製品だけでなくお菓子や健康食品の製造もしていたりします。

これは複数の製品を製造するのに同じ設備を利用できたり、生産過程で出る副産物を他の製品に利用できたりするためです。

また製造拠点を集約できるため、人件費や家賃、地代などを抑えることができます。

そのような理由から、別々で事業を行うよりも、関連性のある事業を複数展開する方が収益を増やしやすいわけです。

これを「範囲の経済」と言ったりしますが、「範囲の経済」は生産設備だけでなく、販売ノウハウや流通チャネル、デジタルデータなどにも適用可能です。

たとえば、

  • フィットネスジムが、プロテインやトレーニングウェアを販売する
  • Amazonが本やファッション、家電、食品など多種多様な商品を取り扱う
  • 出版社が紙の書籍だけでなく、電子書籍も出版する
  • パソコンメーカーが、携帯電話やスマートフォンを製造する

などです。

僕が身を置いているWeb制作業界でも、ウェブサイトの他に名刺やパンフレットなどの印刷物のデザインを提供している事業者がたくさんあります。

これはウェブサイトを制作するデザインソフトが、印刷物のデザインにもそのまま使用できるためです。

実際にはもともと印刷物のデザインをしていた会社が、インターネットの普及をきっかけにWebデザインにまで事業を展開したというケースが多いのではないかと思います。

いずれにしても、経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)をできるだけそのまま活用できる、関連性のある事業を選択することが重要です。

ただ注意したいのは、範囲の経済の考え方で展開した事業だとしても、「ついで」だと捉えないことです。

Web業界で言えば、もともと印刷物デザインをしていた会社がWebデザインにも展開したケースだと、内部SEO対策がされていない、ソースコードがメチャクチャ、UIにおけるセオリーがまるで無視されている、というようなことがたまにあります。

逆に、Webデザイン会社がクライアントの要望で印刷物も引き受けるというような場合、カラーモードがRGBのままとか、トリムマークが設定されていなかったり、塗り足しない・文字切れするという状態で入稿されるというケースもあります。

そんな感じで品質に問題があれば、それ専門でやっている競合に勝てるはずはありません。

そうなれば、経営資源を分散した分だけ企業全体の収益にもよくない影響が出てきます。

特に中小企業や個人事業主は経営資源に限りがありますので、いたずらに複数の事業展開を考えるより、一つの事業に集中した方がいい結果になることもあります。

まとめ

以上、中小企業が効果的にコストダウンする3つの方法でした。

冒頭でも言いましたが、やたらにコストダウンしようとすると、本当に必要なところまで削ってしまう恐れがあります。

たとえば、材料費を抑えるために品質の低いものを仕入れたり、熟練した人材を解雇して人件費の安い新人を雇ったりなどです。

そうなれば製品の品質が落ちますし、生産量が減り、不良品の発生率が高くなります。

つまり収益が落ち、コストが上がるという結果になってしまうわけですね。

そうならないよう、ここでご紹介した考え方も取り入れつつ、コストダウンに取り組んで頂ければと思います。

柴田 竹思

柴田 竹思

日本&ベトナム二拠点生活中のWeb系フリーランス。最近は育児6:仕事4のバランスで生活してます。これでもかってくらい奥さんの尻に敷かれてる座布団系男子です。

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