【競争優位の戦略】中小企業の基本戦略は「差別化集中戦略」がいい理由【マイケル・ポーター】

【競争優位の戦略】中小企業の基本戦略は「差別化集中戦略」がいい理由【マイケル・ポーター】
「個人で稼ぎたかったら単価を上げろ」
「中小企業が生き残るには差別化が必要だ」

なんて言葉を聞いたことがないでしょうか?

中小企業や個人事業主など、一人または少数精鋭でビジネスをするなら、商品・サービスの単価を上げた方がいいという意味ですね。

実はこれ、経済学者マイケル・ポーターという人の「競争優位の戦略」という考え方が土台になっています。

かなり有名な概念なので知っている人も多いと思いますが、これを押さえておくことで中小企業・個人事業主としてどう戦っていくべきか、またライバルがどのような戦略を取っているのかが見えるようになります。

中小企業の基本戦略は「差別化集中戦略」がいい理由

「差別化集中戦略」とは簡単に言えば、自社製品・サービスに機能や品質などで他社との違いを持たせたあと、さらに特定のセグメント(顧客層)に経営資源を集中させる戦略のことです。

中小企業や個人事業主の基本戦略として「差別化集中戦略」が適している理由は、限りある経営資源を効率よく活用できるからです。

当たり前ですが、中小企業や個人事業主には大手企業のような豊富な経営資源があるわけではありません。

それなのに薄利多売で大手に価格競争を挑んでも、一瞬で踏みつぶされてしまいます。

だからこそ、差別化により商品単価を上げ、さらに大手がカバーしきれない、または企業イメージなどを気にして参入しづらいセグメントに特化していくという戦略が有効になるのです。

そしてこうした差別化や集中という考え方が、ポーター氏の「競争優位の戦略」というわけです。

競争優位の3つの基本戦略

競争優位の戦略

それでは、「競争優位の戦略」についてもう少し掘り下げてみたいと思います。

「競争優位の戦略」では、3つの基本戦略があるとされています。

コストリーダーシップ戦略

「規模の経済」「経験曲線効果」「範囲の経済」などの活用により他社よりも低いコストを実現させ、有利なポジションを取りに行く戦略です。

コストを下げ、価格も下げ、できるだけ幅広い顧客をターゲットにします。

薄利多売が前提の戦略のため、価格競争に巻き込まれることは避けられません。

そのため、経営資源の規模が成功を左右します。

そういう理由から、中小企業や個人事業主には向かない戦略と言えるでしょう。

差別化戦略

自社の商品・サービスに、機能や品質など価格以外の点で他社製品との違いを生み出し、有利なポジションを取る戦略です。

コストリーダーシップ戦略がコストと価格を下げるのに対し、差別化戦略では「違い」を武器に幅広い顧客をターゲットにしていくことになります。

分かりやすいところでは、ルイヴィトンやエルメス、シャネルなどの高級ブランドです。

ブランディングや品質向上に力を入れることで、顧客にとって「持っていることがステータス」という認識を作り上げます。

価格で勝負する必要がないため、高価格路線で商品を展開することができます。

その反面、他社にデザインや機能など「差別化ポイント」を真似されることで、優位性を失うリスクもあります。

集中戦略

コストリーダーシップ戦略と差別化戦略が幅広い顧客層をターゲットにするのに対し、集中戦略は特定の顧客層にターゲットを限定する戦略です。

「ニッチ戦略」とも呼ばれ、

  • ニーズはあるものの収益性が低い
  • 企業イメージに影響するおそれがある

などの理由から大手企業がターゲットにしない小さな市場で有利なポジションを取りに行きます。

小さい市場に経営資源を集中できることから、中小企業や個人事業主に向いている戦略と言えます。

なお実際に集中戦略を取る場合には、集中戦略に上記のコストリーダーシップ戦略または差別化戦略を掛け合わせたアプローチをすることになります。

一つは、市場を限定した上でコストを削減し、利益率を上げる、または価格も下げてシェア獲得を狙う「コスト集中戦略」

もう一つは、同じく市場を限定した上で、さらに「違い」を追求することで優位を狙う「差別化集中戦略」です。

差別化集中戦略のリスク

中小企業や個人事業主には、小さい市場に経営資源を集中させ、さらに高価格路線で攻めることができる「差別化集中戦略」が向いています。

しかし「差別化集中戦略」も万能というわけではなく、

  • そもそも小さい市場であるため収益の拡大に限界がある
  • 差別化を突き詰めることでコストが上がり価格とのバランスが取れなくなる

というリスクがあります。

たとえ小さい市場でシェア獲得に成功したとしても、そもそもの規模が小さいのでそれ以上の収益拡大は見込めません。

またコストが上がれば必然的に価格を上げることになりますが、価格が高くなりすぎれば顧客の許容範囲を超えてしまうことになります。

そのため、「差別化集中戦略」を取りつつも、コストを完全に無視することはできないというのが実際のところです。

コストと差別化のバランスを見ながら、利益が最大化するところを見つけ出すしかありません。

まとめ

以上、競争優位の戦略、そして中小企業・個人事業主には「差別化集中戦略」がおすすめという話でした。

言ってみれば当たり前のことなんですが、同じ500万円の売上を作るにしても5万円の商品なら100個売ればいいのに対し、5,000円の商品なら10倍の1000個売る必要があるわけです。

しかし「5万円のものを100個売る」ことが「5,000円のものを1000個売る」ことの10倍しんどいかと言えば、実際にはそんなことはありません。

だからこそ、

  • 限りある経営資源を有効活用するために市場を限定する(集中戦略)
  • 機能や品質、イメージなどで「違い」を生み出し価格を上げる(差別化戦略)

という2つの戦略を掛け合わせることが、中小企業や個人事業主には大切になってくるわけです。

柴田 竹思

柴田 竹思

日本&ベトナム二拠点生活中のWeb系フリーランス。最近は育児6:仕事4のバランスで生活してます。これでもかってくらい奥さんの尻に敷かれてる座布団系男子です。

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